通〜ぶりズム

街を通ぶって歩く、通〜ぶりストたちによるブログです

同じ窯の飯を、食えないひと

「同じ釜の飯を、食えない人」一昨年の秋、しっかり丸くなった自分の顔を鏡で見て渋々ダイエットを決意した。その頃我が家では、一週間に1日水のみで生活するという「月曜断食」なるものが流行しており、私も母と一緒に週一回の断食に挑戦した。軽い気持ちで…

コロナと地元の飲食店

東京から遠く離れた私の実家の近くには、かつて「キリシュナ」という、南インド料理屋があった。2013年に私の町内に移転してきたのだが、当時から本格的な南インド料理が味わえると評判の店だった。 シェフは、タミル出身のエドワードさん。家族でインドから…

同じ博物館に5回行ってみたら

同じ博物館に2年半で5回訪れるというのは、かなりのマニアに相当するのだろうか。タイトル通り、私が5回も見学したのはベトナム・ホーチミンにある戦争証跡博物館である。 戦争証跡博物館は、ベトナムの戦争の歴史を伝える博物館であり、戦場での目を覆いた…

想像力がもたらすもの

本当に辿り着くのだろうか。 窓から見慣れない景色を眺めながら、私はドキドキしていた。必死に耳を傾けていた車内アナウンスが目的地を告げた。無事到着したようだ。 駅から徒歩20分。とても近いとは言えない距離に、私はバスで向かった。 到着したのは「東…

共に生き、共に歌い続ける

2020年秋、北海道の白老にあるコタン(村)を訪れた。民族共生象徴空間「ウポポイ」である。ウポポイはアイヌ語で「大勢で歌う」という意味だ。ここではアイヌの暮らし、アイヌが奏でてきた音、アイヌが考えた世界観などを、アイヌを祖先に持つ人達が中心とな…

グリーンブックを観て

『グリーンブック』は実話を元にしたストーリーで、人種差別の影響が強く残る1960年代のアメリカ南部を舞台に、黒人ピアニストとイタリア系男性の友情を描いた作品だ。昨年の「第91回アカデミー賞」にて作品賞を受賞した。 この映画を観終わると、黒人がいか…

1、近くて遠い隣人

数回にわたり、「在日外国人の今」というテーマでお届けする。初回となる今回の舞台は群馬県の大泉町。大泉町周辺は、SUBARUやPanasonicなどの大工場があることを背景として、日系ブラジル人が集住していることで有名な地区だ。 大泉町と私の地元は県境を隔…

黒人差別は対岸の火事なのか

『私はあなたのニグロではない』(参照: https://www.magichour.co.jp/iamnotyournegro/)トランプ政権がスタートした2017年にアメリカでヒットし、日本では2018年に公開された後、2020年に再上映されたこの作品。1960年代のアメリカの黒人差別と公民権運動の…

3、共生の最前線

東京から電車に揺られること2時間半、群馬県大泉町に着いた。大泉町は、人口の10%以上を日系ブラジル人が占め、日系ブラジル人の一大コミュニティを有する。 近年は、町内の外国人の出身地はアジア各国に拡大している。黄色と緑色に塗装された真新しい駅に…

2、食と暮らし

早大生の庭ともいえる高田馬場。ここが「リトルヤンゴン」と呼ばれていることをご存知だろうか—。 駅から歩いてすぐの路地裏にミャンマー料理店「ノング・インレイ」は店を構える。http://nong-inlay.com/薄暗い雑居ビルに足を踏み入れ店内に進むと、そこに…

1、食事を共にするということ

「Go To イート プレミアム付き食事券販売一時停止」 「飲食店 時短要請再び」 新型コロナウイルスの流行が「第3波」の様相を呈する中、こんなニュースが飛び交う。コロナ禍の今、友人や職場の同僚と食事を共にする機会が減ったという声は頻繁に耳にするだろ…

太陽の塔という「樹」

伊丹空港からモノレールに揺られ、窓を眺めていると、木々から不気味な顔がニョキっと出てくる。 モノレールが進むにつれて、どんどんその全貌が見えてくる。 太陽の塔だ。 いつもは京都の祖母の家にまっすぐ向かうが、今日は寄り道して塔の内部に入ると決め…

空間の記憶

9月、ポール・ルセサバギナ氏がテロ行為の疑いで逮捕された。映画「ホテル・ルワンダ」のモデルとなった元ホテル支配人である。1994年、ルワンダ虐殺真っただ中に避難民を救助した英雄として知られている。だが、逮捕に至る経緯は不透明な部分が多く、真相は…

「過ち」と向き合う

「背筋が伸びるよね、この国を守ってくれた人たちがそこにいると思うと」父は靖国神社が好きだと言う。しかし私は、父と靖国神社の話をするとき、なんとなく心が曇るのを感じる。「この国を守ってくれた人たち」を祀る神社に参拝することは、どのような意味…

戦争の足音

自分のひいお爺さんがあと数メートル前線に出ていたら、今の自分は存在しない。博物館の展示品から、今自分が生きていること、本当は存在し得た誰かに思いを馳せる。

私たちは「日本語人」  HANA

合宿4日目。私たちゼミ員24人はベトナム・ホーチミン近郊のある大学日本語学科の200名余りが参加する交流会に向かっていた。 バスの中でふと思い返した出来事があった。私は以前、ベトナム現地で日本語の交流会を行うサークルに所属していたため、同様の交流…

郷に入っては郷に従え?

「郷に入っては郷に従え」 風俗や習慣はその土地によって違うから、新しい土地に来たら、その土地の風俗や習慣に従うべきだということを意味することわざだ。日本にいる時は大して気にも留めていなかったこのことわざだが、私の心に引っかかるようになったの…

海のない海  飛鷹

「海行きたい。明日海行きたくないですか?」 ゼミで向かったベトナムの街、ホーチミン。配車アプリで捕まえた窮屈な七人乗りのタクシーの中、上ずった友人の声はすげなく遮られる。 「いや、ホーチミンには海がないらしいよ」 そうか。海がないのか、と考え…

パスポートが示すもの

カンクンのビーチ 2019年12月、カリフォルニアに留学していた私は、友人と共にメキシコ・カンクンに降り立った。カンクンに着く前はペルーを周遊した。からっと晴れたペルーとは違い、晴れ間の中に湿気を感じる。日本の夏の感覚が蘇る。空港の落ち着きからビ…

メキシコで感じるあたたかさ

ティファナのセブンイレブン カリフォルニアの南部の大学に留学していた私は、メキシコ人の友達に連れられ、その友達の故郷である国境の町ティファナに訪れた。国境の壁を横目にしながら軽い入国審査をパスすると、そこにはアメリカとは別の世界が広がってい…

手紙よ届け やすべえ

これは昨年夏、ホーチミン中央郵便局から送ったエアメールの話。 私は東京に一人暮らししており、近況報告として祖父母に月に1回絵葉書を送ることが約束になっていたが、ズボラな性格のため全く約束を守れていなかった。 貴重な機会だし、ベトナムから国際郵…

カツカツ大学生。 蘭奈

どうもこんにちは。 いきなりだが、私は新型ウイルスが世界を大きく変化させたと感じている。 外出自粛や在宅勤務に加え、様々な店舗の自粛や営業時間の短縮。人の動きがなくなり、経済が縮小している。 それに伴い、私のアルバイト先も4月から休業となり、…

生きるとは。 蘭奈

どうもこんにちは。 いきなりだが、私は新型ウイルスが世界を大きく変化させたと感じている。 外出自粛や在宅勤務に加え、様々な店舗の自粛や営業時間の短縮。人の動きがなくなり、経済が縮小している。 それに伴い、私のアルバイト先も4月から休業となり、…

チャイナ行っちゃいな〜 にわ

通信技術や翻訳機能が進化し続けている今、海外留学に行く意味はあるのだろうか? わざわざ飛行機に乗って現地に行かなくても海外の人とSkypeで会話することはできるし、外国語が話せなくてもgoogle翻訳を使えばある程度コミュニケーションをとることは可能…

アホでいたいと思ったこと 電柱

コロナ渦中で外に出れない中、近所に住む彼氏と気分転換に散歩に出かけた。「これ、沖縄のおばあちゃんが彼女にって。」手渡されたのはカゴで編んだふくろうの小さい置物。中にはお清めの塩が入っていた。彼の両親は再婚しており、沖縄のおばあちゃんと彼に…

文化横断 このはな

長崎市内の西洋建築が並ぶ坂道を登ると、「天主堂」と漢字が掲げられた白い教会が見えてきた。南国風の植物に囲まれ小高い丘の上に佇む姿は、白い漆喰を用いているせいか、外観だけなら日本の城のように見えた。この大浦天主堂は長崎を代表する観光地の一つ…

命の境界線

ベトナムの街には犬がウロウロしている。リードもせず、首輪もせずに。 街が変われば犬の飼い方も変わる、そんな異国情緒に浸った。 犬好きの私にとってはまるで天国のような場所だ。 しかし変わるのは「飼い方」だけではないと気づいた。それは現地に着いて…

私だけは「いい日本人」でありたい 飛鷹

ぎゅうぎゅうに敷き詰められた安価ベッド。改竄されたタイムカード。涙を流し監視の厳しさを訴える女性たち。 日本語を学ぶベトナム人学生との交流会に参加するより前、私が技能実習生のドキュメンタリーから得たイメージとはそこに収束されていた。夢を持っ…

作られた日本橋 まるお

歩く前に日本橋がどのようなイメージのある街か自分の中で考えてみると、下町、オフィス街、お年寄りが買い物をしている高島屋。ある程度のイメージを持ちながら街を散策しているとそれに呼応するかのように想った通りのサラリーマンや裕福そうな年配の方々…

「サイゴンって漢字でどうやって書くんだっけ」  HANA

「サイゴンって漢字でどうやって書くんだっけ」それは何気ない会話で出たものだった。ゼミ合宿3日目、自由行動。私はゼミ教授を含む7名で、ホーチミン市にある中国人街、チョロン地区に向かおうとしていた。公共バスで向かうことにし、なんとかバスに乗り…