手紙よ届け やすべえ
これは昨年夏、ホーチミン中央郵便局から送ったエアメールの話。
私は東京に一人暮らししており、近況報告として祖父母に月に1回絵葉書を送ることが約束になっていたが、ズボラな性格のため全く約束を守れていなかった。
貴重な機会だし、ベトナムから国際郵便を出したい!
そう思い、一緒に街巡りしていたメンバーに無理を言って郵便局へ行ったのだ。
直感で選んだ絵葉書に急いで書き留めて、郵便局の担当窓口に渡した。
ベトナムから帰国して二週間。
祖父母からの反応をちょっと楽しみにしていたのだが、そういう連絡が一切こなかった。
届かなかったのかな...と流石に不安になってしまい、エアメールの方法をインターネットで調べた。
すると、致命的なミスをしていたことが発覚した。宛先を普通に日本語で書いてしまっていたのである。
普通に考えればローマ字で書くべきところだ。その時インターネットで方法を調べられなかったとはいえ、日本語で宛先を書くことに抵抗なかった自分の行動を心の底から罵った。
折角のエアメール。結局届かなかったんだ...。
このまま祖父母には黙ってようと思ったが、やっぱり何も言わないのは悔しく思い、手紙を送ったが届かない旨を報告した。
すると、驚きの返事が。
「エアメールならちょうど今朝届いたよ」
イギリスで同じことをしたら「日本語なんて読めない」と捨てられてしまうという話を聞いたので
ベトナムの郵便局の人たちに感謝の気持ちでいっぱいになった、そんな思い出話である。
人モノの移動が自由だったあの頃が、より一層懐かしくて愛しくて、しみじみと考えてしまった。