通〜ぶりズム

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黒人差別は対岸の火事なのか


私はあなたのニグロではない


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(参照: https://www.magichour.co.jp/iamnotyournegro/)


トランプ政権がスタートした2017年にアメリカでヒットし、日本では2018年に公開された後、2020年に再上映されたこの作品。


1960年代のアメリカの黒人差別と公民権運動のリーダーだった、メドガー・エヴァース、マルコムXキング牧師の暗殺についてのドキュメンタリー作品である。


黒人差別について知るという目的でこの作品を選び見た私は、想定していたのと違う感想を持つことになった。


「黒人差別って、今の日本の構造と似ている。」


アメリカの歴史について見てきたはずなのに、いつの間にか今の日本について考えている私がいた。


「黒人が労働をして支えてきた経済の上に白人がいる」


作品の途中で語られるアメリカの構造である。

これは「自国民のみでは賄いきれない分野を外国人労働者が支えている」という現代の日本の構造に近しいのでは、と思いが浮かぶ。


日本でも労働をする外国人に対して行政は優しくないじゃないか、と。


実際に、いわゆるブルーカラーの職種で就職することを限定されている技能実習生の多くに対して、コロナ禍では解雇が多発した。

表向きは「自主退社」という形だが、彼らのこれからについての保障は不十分のままだ。行政は国を支えている外国人労働者に対して優しくない。


さらに、作品の中でアメリカに限ったことではないと思わされた瞬間がある。


「近い将来に、黒人の大統領が生まれる可能性がある。」


作品の中で取り上げられたロバート・ケネディ元司法長官の発言である。


一見、黒人にも政治が開かれる黒人解放宣言のように聞こえる。


しかし黒人には、「従順にしていれば大統領にしてやる」と捉えられたのだと、公民権運動家のジェームズ・ボールドウィンは語っている。


そこには、アメリカで黒人差別が根強く残っていて、社会的地位を望めない黒人が数多く存在している現実と、それを政治家含め直視しない白人という社会構造が顕著に表れている。


そして、この構造を把握したとき、政府が国民全体を直視しないのはアメリカに限らないのではと思ったのだ。


日本において、安倍前首相が「新規雇用を増大させた」と主張する一方、非正規雇用者の増加・正規雇用者との収入の格差増大を生み出したのは記憶に新しい。


私は黒人差別の問題を、遠くに感じたままでいいのだろうか。黒人差別について学ぶと同時に、自分が直視出来ていない姿が見つかっていくように感じる。


「何事も無関係だと捉えて生きたくない」そう気付かされた時間だった。



私はあなたのニグロではない』公式サイト

https://www.magichour.co.jp/iamnotyournegro/