見えないルール
『民主主義ってなんだっけ〜?』
私と同い年くらいの男性が、友人と笑っていた。
現在、東京ミッドタウンの21_21 DESIGN SIGHTにて、【ルール?展】が開催されている。
---------
【ルール?展】
会期: 2021年7月2日(金)~11月28日(日)
休館日: 火曜日
開館時間: 平日11:00~17:00、土日祝11:00~18:00
入館料: 一般1,200円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料
ホームページ: http://www.2121designsight.jp/program/rule/
(2021年9月7日現在の情報)
---------
8月上旬、友人と昼過ぎに向かったが、整理券が配られており、15時以降に再チャレンジすることとなった(現在は事前予約制)。
定員入替制かつご時世も混雑の理由としてはあげられるが、何よりも人が多い。
同い年くらいのお洒落な人達がポスターの前で入れ替わり立ち代わり写真を撮っている。
読む、触る、見る、意見交換をするなどの多様な体験を通じて、様々なルールを体感し、見つめ直すことができる。
ここでいう〝ルール〟とは、『憲法や法律、社会基盤となる公共インフラや公的サービスから、当事者間の契約・合意、文化的背景に基づいた規則やマナー、家族や個人に無意識に根づく習慣、また自然環境の中から生まれた法則(ホームページから引用)』である。
様々な展示の中でも特に人気だったのは、参加体験型の来場者アンケートである。
10数名がひとつの部屋に集まり、壁に移されるアンケートに回答する。
回答方法がユニークであり、選択肢が床に映し出され、自分の足で動き、選んだ枠内に入るというものだ。
アンケート内容は政治に関するものが多かったと記憶している。
普段友人とは語り合わないような、普段友人には自分の意見を主張しないような内容である。
私自身、回答するのは少し小っ恥ずかしかった。
特に印象的だったのは、民主主義に関する質問である(詳細を知りたい場合は、是非来場してみてほしい)。
回答を求められた時、私の前にいた同い年くらいの男性が、『民主主義ってなんだっけ〜?』と笑っていた。
その時私がずっと見学中に感じていた違和感の正体がわかった。
私たちはちゃんとこの展示を作った方々が伝えたい主張を受け取ろうとしていたのだろうか。
先程の彼は、帰宅してから民主主義の意味を調べたのだろうか。
Instagramで#ルール展を検索すると出てくる、映えた写真の投稿者は、何か学びを得ていったのだろうか。
小さな憤りを感じた。
しかし冷静に考えてみると、その憤りこそ、見えないルールに縛られ、それに気づくことが出来なかった愚かさゆえのものではないだろうか。
国語の授業では、文章を読み、作者の主張を、自己流ではなく、正しく読み解くことが求められた。
美術の授業では、作品を見て、作者の主張を、自己流ではなく、正しく読み解くことが求められた。
小さな頃から傍にあった、そのルールに気づくことが出来なかった。
何故自分らしく鑑賞することが許されないのか、数分前の自身と対立することとなった。
自身の中で強い感情が生まれたとき、その原動力がなんなのかを冷静に見つめ直すという、
〝私だけの新しいルール〟
が生まれた。