通〜ぶりズム

街を通ぶって歩く、通〜ぶりストたちによるブログです

パスポートが示すもの

 

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カンクンのビーチ


201912月、カリフォルニアに留学していた私は、友人と共にメキシコ・カンクンに降り立った。カンクンに着く前はペルーを周遊した。からっと晴れたペルーとは違い、晴れ間の中に湿気を感じる。日本の夏の感覚が蘇る。空港の落ち着きからビーチリゾートの治安の良さが見て取れ、張りつめていた緊張が一気に解けた。

 

すぐに入国審査だ。入国審査には緊張が付き物だが、メキシコに着いた高揚はそれを上回った。日本、香港の友人はすぐに入国審査を抜けた。香港の友人はカナダとの二重国籍を持っており、中南米の旅ではカナダのパスポートを使っていた。

台湾人の友人だけがなかなか出てこない。そう思っているうちに、別室に連れていかれてしまった。その時分かったのは、台湾人はメキシコ入国の際にビザが必要だということだ。彼女はトランジットでメキシコを経由するだけなので、ビザが要るとは思い付かなかったようだ。ビザ取得に何時間かかるのかは見当も付かない。別室で過ごしている彼女を思うと、入国を済ませていても、自由よりもメキシコに放り出されたような不安を感じた。そして、中南米旅行の計画で、ビザの有無について自分が気に留めていなかったことを思い出した。日本人の友人がビザはいらないと知っていたからかもしれないが、話題に登ることは無かった。

 

パスポートはその人の何を示すのだろう。私は日本のパスポートによって、自分が海外旅行のハードルの低さを享受していたことを目の当たりにした。個人が国籍で判断されることに仕方なさとやるせなさを感じた。

メキシコで感じるあたたかさ

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ティファナのセブンイレブン


カリフォルニアの南部の大学に留学していた私は、メキシコ人の友達に連れられ、その友達の故郷である国境の町ティファナに訪れた。国境の壁を横目にしながら軽い入国審査をパスすると、そこにはアメリカとは別の世界が広がっていた。渡米してから4ヶ月ほど経っていたが、私はむしろそこで、「アジアに帰って来たみたいだ」と感じた。それほどの安心感があったのである。アメリカは何もかもが広大だが、ティファナの住居は密集し、至るところにセブインイレブンなどのコンビニなどもあった。当時少なからず日本が恋しくなっていた私は、ずっとここにいたいと思ってしまうまでにそのメキシコの街が気に入ってしまった。


衝撃を受けたのは街の作りだけではない。街行く人のホームレスの人々に対する態度に私は度肝を抜かれてしまった。車の中で信号待ちなどしていると多くのホームレスの人々がお金をねだりに寄ってくるのだが、そこで窓を開けて金をやる人が多いのである。実際、現地の案内を頼み一緒にまわっていたメキシコ人の友達の叔父さんもやすやすとお金を渡していた。自立を阻んでしまうのではないかという懸念もあるが、その寛容さにはあたたかさを感じた。経済格差が深刻なメキシコだが、人を助けるのが当たり前というこのような人々によってこの国はまわっているのだろうか、などと感じた。

手紙よ届け やすべえ



これは昨年夏、ホーチミン中央郵便局から送ったエアメールの話。

 

 

私は東京に一人暮らししており、近況報告として祖父母に月に1回絵葉書を送ることが約束になっていたが、ズボラな性格のため全く約束を守れていなかった。

貴重な機会だし、ベトナムから国際郵便を出したい!

そう思い、一緒に街巡りしていたメンバーに無理を言って郵便局へ行ったのだ。 

直感で選んだ絵葉書に急いで書き留めて、郵便局の担当窓口に渡した。

 

 

 

ベトナムから帰国して二週間。

祖父母からの反応をちょっと楽しみにしていたのだが、そういう連絡が一切こなかった。 

 

届かなかったのかな...と流石に不安になってしまい、エアメールの方法をインターネットで調べた。
すると、致命的なミスをしていたことが発覚した。宛先を普通に日本語で書いてしまっていたのである。 

 

普通に考えればローマ字で書くべきところだ。その時インターネットで方法を調べられなかったとはいえ、日本語で宛先を書くことに抵抗なかった自分の行動を心の底から罵った。 



折角のエアメール。結局届かなかったんだ...。
このまま祖父母には黙ってようと思ったが、やっぱり何も言わないのは悔しく思い、手紙を送ったが届かない旨を報告した。 

 

すると、驚きの返事が。

「エアメールならちょうど今朝届いたよ」

 

イギリスで同じことをしたら「日本語なんて読めない」と捨てられてしまうという話を聞いたので

ベトナムの郵便局の人たちに感謝の気持ちでいっぱいになった、そんな思い出話である。

 

人モノの移動が自由だったあの頃が、より一層懐かしくて愛しくて、しみじみと考えてしまった。

 

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友達が撮影したお気に入りの写真

 

カツカツ大学生。 蘭奈

どうもこんにちは。

 

いきなりだが、私は新型ウイルスが世界を大きく変化させたと感じている。

外出自粛や在宅勤務に加え、様々な店舗の自粛や営業時間の短縮。人の動きがなくなり、経済が縮小している。

それに伴い、私のアルバイト先も4月から休業となり、スーパーでおつとめ品を率先して買ったり、作り置きで数日しのいだりするほど生活がカツカツだ。

 

だから私は就活生でありながら、生活のために今すぐ始められるアルバイト先を4月から探している。1回目は結婚式場、2.3回目は飲食店、4回目はペットショップ。そして今回、5回目のチャレンジとしてまたもや飲食店を選んだ。

今までの4つはどこも音沙汰無しの不採用。就活も上手くいかない上に、アルバイトですら雇ってもらえない私は社会に必要とされていないのかと不安になる。

 

そんな中で今回ようやく「採用」を手にした。

 

私の性格が評価されたのか。はたまた緊急事態宣言がもう解除されるか否かの期間であるため、今後の再繁盛を目指してスタッフを増員し、客を呼び込もうとしているのか。

どちらにせよ、今のご時世で「採用」という言葉を聞けたことに安心したとともに、人との接触が増え、感染リスクが高まるということへの怖さも抱いた。

 

大学生は 命懸け である。

 

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生きるとは。 蘭奈

どうもこんにちは。

 

いきなりだが、私は新型ウイルスが世界を大きく変化させたと感じている。

外出自粛や在宅勤務に加え、様々な店舗の自粛や営業時間の短縮。人の動きがなくなり、経済が縮小している。

それに伴い、私のアルバイト先も4月から休業となり、スーパーでおつとめ品を率先して買ったり、作り置きで数日しのいだりするほど生活がカツカツだ。

 

だから私は就活生でありながら、生活のために今すぐ始められるアルバイト先を4月から探している。1回目は結婚式場、2.3回目は飲食店、4回目はペットショップ。そして今回、5回目のチャレンジとしてまたもや飲食店を選んだ。

今までの4つはどこも音沙汰無しの不採用。就活も上手くいかない上に、アルバイトですら雇ってもらえない私は社会に必要とされていないのかと不安になる。

 

そんな中で今回ようやく「採用」を手にした。

 

私の性格が評価されたのか。はたまた緊急事態宣言がもう解除されるか否かの期間であるため、今後の再繁盛を目指してスタッフを増員し、客を呼び込もうとしているのか。

どちらにせよ、今のご時世で「採用」という言葉を聞けたことに安心したとともに、人との接触が増え、感染リスクが高まるということへの怖さも抱いた。

 

大学生は 命懸け である。

 

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チャイナ行っちゃいな〜 にわ

通信技術や翻訳機能が進化し続けている今、海外留学に行く意味はあるのだろうか?

 

わざわざ飛行機に乗って現地に行かなくても海外の人とSkypeで会話することはできるし、外国語が話せなくてもgoogle翻訳を使えばある程度コミュニケーションをとることは可能だ。

北京へと発つ日が近づくほど、私はそんなことばかり考えるようになっていた。空気汚染が激しく食べ物は脂っこい、もしかしたら大学の寮も汚くてとてつもなくストレスフルな毎日を過ごすことになるかもしれない。中国への留学は自分で決めたことなのに、新しい環境に対する不安は大きかった。

 

予想通り中華料理は脂っこくてほぼ毎日韓国料理を食べていたし、たまに驚くほど空気が悪くなるし、トイレはだいたい和式でトイレットペーパーはなかった(大学の寮は意外と綺麗だった)。

でも北京へ行かなければ、タジキスタン人の外交官と友達になることも、北京大学の教授にバドミントンでボコボコにされることも、インドと一帯一路政策の関係を勉強することもなかっただろうし、他人には全く興味を持たないが身内や友人には最大限のもてなしをする中国特有の人間関係を知ることもなく、中国人は冷たいという偏見を持ち続けていたかもしれない。

 

勉強でも私生活の中でも、私は中国で数え切れないほどのことを学んだ。

こうした知識や経験、そこで生まれた友情は、オンライン上でも得られるものなのだろうか?バーチャル化が進む今だからこそ、異国の地に足を運び学ぶことの意味を考えたい。

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北京大学のキャンパス内にある未名湖

 

アホでいたいと思ったこと 電柱

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コロナ渦中で外に出れない中、近所に住む彼氏と気分転換に散歩に出かけた。

「これ、沖縄のおばあちゃんが彼女にって。」

手渡されたのはカゴで編んだふくろうの小さい置物。中にはお清めの塩が入っていた。

彼の両親は再婚しており、沖縄のおばあちゃんと彼に血のつながりはない。

「本当の孫でもない俺の彼女に作るなんて、やっぱり沖縄の人はウェルカムな人が多いよな。外の人を受け入れるって言うか」

それに対しわたしは即座に返事できなかった。


沖縄の人が本島の人を指す時に使う、「ないちゃー」という言葉がある。沖縄の人と「ないちゃー」の間には確かな境界線があるとわたしは知っている。去年の夏、沖縄に滞在して感じた違和感を思い出した。

少し遅れて、わたしはありがたいな、大事にするねと答えた。知識をつけることで視界は開けるし、世界は広がる。しかし、つけた知識は人の素直な感情に水を差すこともあるのだ、と私は少し寂しく思った。