通〜ぶりズム

街を通ぶって歩く、通〜ぶりストたちによるブログです

「サイゴンって漢字でどうやって書くんだっけ」  HANA

サイゴンって漢字でどうやって書くんだっけ」
それは何気ない会話で出たものだった。
ゼミ合宿3日目、自由行動。私はゼミ教授を含む7名で、ホーチミン市にある中国人街、チョロン地区に向かおうとしていた。公共バスで向かうことにし、なんとかバスに乗り込んだ。費用は1人6000VND。日本円にして約30円だ。しかし、途中で異変に気付く。舗装された道路はいつしかおわり、店や人がまばらになった。これはどうやらバスを間違えた、どうしよう。私はそう焦っていたのだが、ゼミ生は意外にもそのことに乗り気であった。「それなら6000VNDでどこまでいけるか行ってみよう。」そんな企画にすり替わっていた。どこまで行ってしまうのか、でもここで降りても帰り方がわからない、殺風景になっていく景色を横目に不安を抱きながらも、私たちはバスで郊外へと進んで行った。

そしてバスは終着点まで来る。どこかもわからずに降ろされ、大きな川と多いとは言えないバイクと車が走る大きな道路、わずかな店が並ぶのどかな街だった。
サイゴンって漢字でどうやって書くんだっけか。」
なぜこの話になったのか、はっきりとは覚えていないが、ゼミ教授のこの問いかけに、一同は首をかしげるベトナム格安SIMを入れていたため、すぐさま携帯で調べる。サイゴンは、「西貢」と表記されることがわかった。サイゴンを訪問したのは5度目であったが、それまで知らなかった。その時は、さほど気に留めなかった何気ない会話だった。
 
 行きと同じ路線で中心部へと戻り、タクシーという確実な方法で今度こそチョロンへと向かう。タクシーから街中を見ていると、中国語表記の看板の中でなぜかわかる単語があった。「西貢」の文字だった。この時私は、学びってこういうものか、と気づかされた。もし最初から問題なくチョロンにたどり着けていたら、気づかないまま通りすぎていたはずだ。

 私にとっては見慣れたホーチミンが、違う人や知識と見ることで、新たな街に変わったようだった。慣れ親しんだホーチミンで新たな学びを獲得でき、私の気持ちはとても晴れやかだった。

 

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日本ではあまり見られなくなった光景、バスの乗務員さん。