通〜ぶりズム

街を通ぶって歩く、通〜ぶりストたちによるブログです

坂と隙間の町 やすべえ

 

 神楽坂は、その名の通り坂が多い。

 

「坂に住んでいる人は、斜面に慣れすぎて平坦に立ったときに違和感を覚えるらしいよ」という友人の言葉を思い出した。平衡感覚がにぶってしまうくらいの、坂。狭い道路を挟んで並び立つ4・5階程度の建物がぎゅっと狭苦しそうに敷き詰められている一方で、通りを歩く人はみんなゆったりとしている。八百屋さんも、薬屋も、飲食店も落ち着いた空気感が流れていた。

 

 歩いていると建物と建物の隙間から人が通っていることに気づいた。隙間、と言っているように、通りではない。けれど、そこに住民や配達業者が吸い込まれていくのである。一体何があるのだろう?気になり覗いてみると、アニメの世界で密売が行われていそうな、でもどこかで見たことのあるような細い路地があった。私は、何も考えず路地へ引き寄せられ、小さな路地を進んだ。そこには穴場の居酒屋や、高級そうな家、大きな和風の一軒家がそれまた狭い土地にきゅうきゅうに敷き詰められていた。石畳の階段、通路、そこはまるで外国人が思い描くような「江戸の日本」だった。

 

 坂と、建物、そしてときたまの隙間をうまく活用し生活する人の暮らしが、古風な日本を漂わせる。そこがきっと神楽坂の日本らしさ、高級感を出しているのではないだろうか。狭い土地に、日本唯一を思わせるような時間が流れている神楽坂は、他の都市にはない独特の雰囲気があった。

 

 

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おばあさんを追いかける