通〜ぶりズム

街を通ぶって歩く、通〜ぶりストたちによるブログです

文化横断 このはな

 長崎市内の西洋建築が並ぶ坂道を登ると、「天主堂」と漢字が掲げられた白い教会が見えてきた。南国風の植物に囲まれ小高い丘の上に佇む姿は、白い漆喰を用いているせいか、外観だけなら日本の城のように見えた。この大浦天主堂は長崎を代表する観光地の一つで、現在でもミサが毎日開催されているそうだ。1000円の入場料を少し高いなと思いつつも支払った。天主堂の中は薄暗く、ステンドグラスから漏れる光が荘厳なゴシック様式の室内を照らしている。長椅子に腰掛けて周囲を見渡すと、西洋の教会のような空間が広がっていた。隣にあるキリシタン博物館では隠れキリシタンの歴史を扱っていて、長崎という街が伝えてきた文化について展示していた。

 大浦天主堂を後にして、3分程歩いてグラバー園に足を踏み入れた。ここも長崎では有名な観光地で、旧居留地の面影を残す庭園だそう。ここでも入場料を支払い、エスカレーターに乗って奥へと進んだ。高台から市内を見下ろすと、木々に混じって異国情緒溢れる街並みが見えた。そして、遠くに見える港には工業地帯によくあるクレーンが立ち並んでいる。中華街らしい建造物や、出島の歴史を伝える建物もぽつぽつと残っていた。ここから見るだけでも、この小さな街には様々な時代と文化を示す足跡が集まっている。江戸時代から現代まで、西洋から東洋まで、時代と地域を横断しているようだった。

 一見雑多に見えるが、多種多様な文化を残す史跡が自然と共存している街。初めて訪れた長崎には、そんな印象を抱いた。

 

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グラバー園から見た長崎の街並み